サクッと軽い食感と、ほんのり感じる塩気。
「リッツ（Ritz）」は、どの世代にも愛され続けているクラッカーの定番です。
そのまま食べても美味しく、チーズやハムをのせればおしゃれな一品に早変わり。世界中で90年以上親しまれてきたリッツには、シンプルながらも飽きのこない“おいしさの秘密”があります。今回は、そんなリッツ（Ritz）の魅力や歴史、そしておすすめのアレンジ方法まで、たっぷりとご紹介します。
リッツとは？その魅力と特徴
リッツ（Ritz）は、1934年にアメリカのナビスコ（Nabisco）社が発売した、世界で最も有名なクラッカーのひとつです。発売当時のアメリカでは「手軽に食べられて、少し贅沢気分を味わえるスナック」が求められており、リッツ（Ritz）
はそのニーズにぴったり合致しました。金色の縁取りと赤いロゴ、そして“高級感”を意識したネーミングが大ヒットし、瞬く間に家庭の定番商品になりました。
現在では100か国以上で販売され、「クラッカーといえばリッツ」と言われるほどのブランドに成長しています。
リッツの歴史
アメリカでの誕生 ― 不況の時代に生まれた“贅沢の象徴”
リッツ（Ritz）が誕生したのは1934年。
アメリカが**大恐慌（Great Depression）**の真っ只中にあった時代です。
人々が節約生活を強いられていたなか、ナビスコ（Nabisco）社の開発チームは「家庭で手軽に“高級感”を味わえるお菓子を作ろう」と考えました。そのコンセプトのもと生まれたのが、“リッチ（Rich）”の響きをもつ「Ritz」という名前のクラッカーです。
金色の縁をあしらったパッケージと、赤いロゴデザインは「高級ホテルのような贅沢さ」を象徴しており、当時の人々にとって小さな幸せを感じさせる存在となりました。わずか1年で全米で1億箱以上を販売する大ヒット商品となり、アメリカ家庭の食卓に欠かせないお菓子として地位を確立しました。
世界への広がり ― “グローバル・クラッカー”の象徴に
リッツ（Ritz）はその後、ナビスコ社の主力ブランドとして世界中へ輸出され、1950〜60年代にはカナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどでも現地生産が始まりました。バターの風味と塩気のバランスが絶妙で、洋風・和風どちらの食文化にもなじみやすく、“クラッカー界のスタンダード”として国境を越えて愛されていきます。
今日では100か国以上で販売され、各国の食文化に合わせた味付け（スパイシー、ハーブ、バター濃いめなど）も展開されています。まさに「世界で最も成功したクラッカーブランド」のひとつと言えるでしょう。
日本への上陸 ― 戦後復興期の新しいお菓子として
日本にリッツ（Ritz）が登場したのは1950年代後半〜1960年代初頭。
当時、ナビスコ社と提携していた「ヤマザキナビスコ株式会社（現：ヤマザキビスケット）」が、リッツをライセンス生産・販売開始しました。“洋風でおしゃれなお菓子”として人気を集め、昭和の家庭ではハイカラな来客用スナックとして定着しました。
1970〜80年代にはテレビCMでもおなじみとなり、「リッツパーティー」や「リッツにのせてどうぞ」というフレーズが流行。リッツ（Ritz）は「おうち時間」や「ホームパーティー」など、**“日常のちょっとしたご褒美”**として再び注目を集めていまは“おしゃれなホームパーティーの象徴”として、家庭の食卓を彩る存在になりました。
2016年の大きな転換点 ― 日本ブランド「YBCリッツ」へ
2016年、モンデリーズ・インターナショナル（ナビスコ親会社）が日本市場から撤退。
その際、ヤマザキナビスコは社名を「ヤマザキビスケット（YBC）」に変更し、
**「リッツ」「オレオ」「プレミアム」**などのブランドの日本での製造・販売権を引き継ぎました。
これにより、現在日本で販売されているリッツは、YBCオリジナルの製法・パッケージ・味わいで再構築されています。
味はより軽やかで、日本人好みの控えめな塩気に調整され、海外版と比べてややあっさりとした口当たりが特徴です。
パッケージも少し明るめの赤にリニューアルされ、「Ritz」ロゴの下に「YBC」の文字が入るようになりました。それでも、食べた瞬間の“懐かしいサクサク感”は健在で、多くのファンが安心したと話題になりました。
現在とこれからのリッツ
現在のリッツ（Ritz）は「おうち時間」や「ホームパーティー」など、**“日常のちょっとしたご褒美”**として再び注目を集めています。
ヤマザキビスケットは期間限定フレーバーや小分けパック、スイーツ系の「チョコサンドリッツ」などを展開し、老舗ブランドでありながらも常に新しい食シーンを提案しています。
90年近い歴史を持つリッツ（Ritz）は、今もなお進化を続けながら、「世界で最も身近な“ちょっと贅沢”」として多くの人々に愛され続けています。
人気のフレーバーと商品ラインナップ
定番の「オリジナルリッツ」に加え、さまざまな味のバリエーションが展開されています。
日本で定番のリッツシリーズ
現在、ヤマザキビスケット（YBC）が販売する日本版リッツには、定番からスイーツ系まで幅広いラインナップがあります。
リッツ クラッカー（オリジナル）
最も基本となるスタンダードタイプ。サクサクと軽い食感、ほんのりとした塩気、そして優しいバター風味が特徴です。
おやつ・おつまみ・料理のベースなど、どんなシーンにも合う万能クラッカー。「リッツパーティー」と呼ばれる家庭向けレシピ提案の中心商品でもあります。
リッツ チーズサンド
香ばしいリッツ（Ritz）でまろやかなチーズクリームをサンド。チーズのコクとクラッカーの塩気が絶妙で、紅茶にもワインにも相性抜群。個包装タイプでオフィスのおやつにも人気です。
リッツ チョコサンド
リッツ（Ritz）の塩味とチョコの甘さが織りなす“甘じょっぱ系スナック”。冷蔵庫で冷やして食べると、チョコがパリッとしてより美味。期間限定でホワイトチョコ版やミルクチョコ版が登場することもあります。
リッツ ガーリック味（限定フレーバー）
ほのかに香るガーリックの風味がクセになる大人向けフレーバー。ビールやワインとの相性が抜群で、「おつまみリッツ」として人気が急上昇しました。販売時期は限定されることが多く、再販希望の声も多い商品です。
リッツ バター味／ハーブソルト味（期間限定）
軽い塩味の中に、芳醇なバターやハーブの香りを加えた変化球タイプ。パーティーやピクニック用としても人気で、SNSでは「バター味は止まらない！」という声も。
海外で人気のリッツシリーズ
リッツ（Ritz）は100か国以上で展開されており、各国の味覚に合わせたユニークなフレーバーが存在します。
海外旅行や輸入スーパーで見かけたら、ぜひ試してみたい魅力的なラインナップです。
Ritz Bits Cheese / Peanut Butter：ミニサイズのリッツ（Ritz）でチーズやピーナッツバターをサンドした定番人気。子どものお弁当スナックとして定着。
Ritz Toasted Chips：オーブンで焼き上げた軽いチップス風リッツ。サワークリーム＆オニオン味やチーズ味など多彩。
Ritz Everything / Bacon / Honey Butter：アメリカらしい濃い味系。スナック菓子としての満足度が高い。
Ritz Fudge：リッツ（Ritz）にチョコレートでカバーされている甘塩っぱくてなんとも言えない美味しさ。冬限定のアイテムで人気で品薄になることも。
Ritz Crisp & Thin：ポテトチップスのように薄く焼き上げたタイプで、食感は軽くパリパリ。
ソルト＆ビネガー、スモーキーバーベキューなど、海外らしいフレーバー展開。「油っぽくないのに食べ応えがある」と評判です。
リッツの楽しみ方・アレンジレシピ
おつまみ系アレンジ 〜大人のリッツ活用術〜
リッツ（Ritz）は、ワインやビールにぴったりのおつまみベースとしても大人気。塩気とバター風味があるので、どんな具材をのせても“味がまとまる”のが魅力です。
- クリームチーズ＆スモークサーモン
材料：リッツ、クリームチーズ、スモークサーモン、ディル（飾り用）
作り方：リッツの上にチーズを塗り、サーモンをのせてハーブを飾るだけ。 - アボカド＆ツナマヨ
材料：リッツ、つぶしたアボカド、ツナ缶、マヨネーズ、黒こしょう
作り方：ツナマヨとアボカドを混ぜてリッツにのせる。
まろやかさと塩気のバランスが最高で、ビールが進む一品。 - カプレーゼ風リッツ
材料：リッツ、モッツァレラチーズ、ミニトマト、バジル、オリーブオイル
作り方：全てをのせてオリーブオイルをひとたらし。
まるでイタリアン前菜のような一口カナッペに！
スイーツ系アレンジ 〜甘じょっぱの魔法〜
リッツ（Ritz）は甘いトッピングとも相性抜群。塩味がスイーツの甘みを引き立て、まさに“罪深いおいしさ”を生み出します。
- リッツ×チョコ×マシュマロ（スモア風）
材料：リッツ、板チョコ、マシュマロ
作り方：リッツにチョコとマシュマロをのせ、トースターで1〜2分焼く。マシュマロがふわっと溶けたら、もう一枚のリッツでサンド！手軽なのに、まるでキャンプスイーツのような味わい。 - バナナ＆ピーナッツバターリッツ
材料：リッツ、ピーナッツバター、スライスバナナ、はちみつ少々
作り方：ピーナッツバターを塗り、バナナをのせてはちみつをかける。濃厚で満足感があり、朝食や軽食にもおすすめ。 - アイスサンドリッツ
材料：リッツ、好みのアイス（バニラ・チョコ・抹茶など）
作り方：アイスをリッツで挟んで冷凍庫で10分。パリッと冷たい、夏にぴったりの“リッツアイス”が完成！
朝食・軽食アレンジ 〜忙しい朝にもぴったり〜
朝の忙しい時間でも、リッツ（Ritz）を使えば簡単に栄養バランスの良い軽食が作れます。
- 目玉焼き＆ベーコンのミニブレックファストリッツ
材料：リッツ、半熟卵、ベーコン、黒こしょう
作り方：リッツの上にカリカリベーコンと小さな目玉焼きをのせる。食べごたえがあり、ミニサイズの朝ごはんにぴったり。 - サラダリッツ
材料：リッツ、ツナ、レタス、トマト、オニオンドレッシング
作り方：サラダの具材を小さく刻み、リッツにトッピング。
パーティー・おもてなしアレンジ
カラフルなトッピングを並べれば、それだけで立派なパーティープレートに。お皿の中央にディップを置き、周囲にリッツを円形に並べると華やかです。
ディップソースの例
- アボカドディップ（ワカモレ風）
- チーズディップ（チェダーやブルーチーズ）
- ハニーマスタードソース
- チョコレートフォンデュ風ディップ
おしゃれに見えるだけでなく、ゲストが好きな具材をのせて楽しめる“参加型スナック”として盛り上がります。
リッツ（Ritz）のすごさは、どんな食材とも相性がよく、手間をかけずに「見た目もおいしい」料理が作れること。
甘い・しょっぱい・軽食・デザート──どんな気分の日にもぴったり寄り添う万能クラッカーです。
リッツに関する豆知識
名前の由来は“高級ホテル”から
「リッツ（Ritz）」という名前は、実は**“高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」”**に由来しています。1900年代初頭、ヨーロッパで最も格式の高いホテルのひとつに「ザ・リッツ（The Ritz）」があり、そこから“上質で贅沢なもの”を意味する言葉として定着しました。
ナビスコ社がこのクラッカーを発売した1934年当時、「不況の時代でも“高級ホテルのような気分”を味わえるお菓子を作ろう」という願いが込められていたのです。
つまり、“Ritz”という名前には、**「手が届く贅沢」**というメッセージが隠されているのです。
リッツの表面に「7つの穴」がある理由
リッツ（Ritz）をよく見ると、表面に7つの小さな穴が開いています。これは「見た目のデザイン」ではなく、焼成工程のための機能的な穴。もしこの穴がなければ、クラッカーが焼くときに膨らみすぎて割れてしまうため、ガスを逃す“通気孔”として設けられています。さらにこの穴のおかげで、サクッとした軽い食感と均一な焼き色が生まれるのです。
リッツの「波型の縁」にも意味がある
リッツ（Ritz）の縁は、まるで花びらのようなギザギザ形状をしています。これは「クラッカーの割れ防止」と「クリームや具材の保持力」を高めるための工夫。リッツ（Ritz）1枚あたりに**72枚のギザギザ（スカラップ）**があると言われており、
その“繊細なデザイン”こそが、リッツ（Ritz）の象徴でもあります。アメリカでは子どもたちの間で「このギザギザでチーズを切れる！」という都市伝説も（笑）。
あの“香ばしい香り”の正体
リッツ（Ritz）の焼きたてのような香ばしさは、小麦粉と植物油の絶妙なバランスによるもの。オリジナル版ではラード（動物性油脂）を使用していましたが、現在は多くの国で植物油（パーム油・コーン油など）に変更されています。それでも香りが変わらないよう、独自の“焼き加減”と“発酵時間”を細かく調整しているのが企業秘密なんです。
パッケージデザインの秘密
リッツ（Ritz）の赤い箱は、**「食卓を華やかにする色」**を意識して設計されています。もともとアメリカ版では濃いワインレッドに近い色合いでしたが、日本ではより明るい赤に変更し、“親しみやすさ”を重視。黄色の「Ritz」ロゴは、太陽の光をイメージしており、開けるだけで“ワクワク感”を与えるようデザインされています。
リッツのカロリーと栄養成分
1枚あたり：約19〜20kcal
脂質：約1g、炭水化物：約2.4g、塩分：0.05g前後
少量でも満足感が高く、糖分は控えめ。
ただし軽い食感でつい食べすぎるため、**1回5〜6枚（約100kcal）**を目安に楽しむのが◎です。
また、全粒粉入りや低脂肪タイプが販売されている国もあります。
まとめ 〜なぜリッツは愛され続けるのか〜
リッツ（Ritz）が誕生してから、すでに90年近く。それでもなお、世界中の食卓で変わらず愛され続けているのには、きちんと理由があります。ひとつは、その普遍的な「おいしさのバランス」。
サクッとした軽い食感、ほんのりとした塩気、そしてバターのような香ばしさ。どんな食材とも相性がよく、甘いトッピングも、しょっぱい具材ものせられる自由さが、世代や国を超えて多くの人の心をつかんでいます。もうひとつは、リッツ（Ritz）がもたらす**“小さな贅沢”の感覚**。忙しい日常の中で、一枚つまむだけでほっとできる。
友人とのおしゃべり、家族のティータイム、ワインを片手に過ごす夜――
そのどんな瞬間にも、リッツ（Ritz）はさりげなく寄り添ってくれます。そして何より、リッツ（Ritz）は常に時代とともに進化してきました。
オリジナルの味を大切に守りながらも、新しいフレーバーやアレンジを生み出し、“懐かしさ”と“新しさ”の両方を感じさせてくれる。
それがリッツ（Ritz）が長年愛される最大の理由です。
これからもリッツ（Ritz）は、「シンプルなのに特別」な存在として、世界中の人々のそばにあり続けることでしょう。
